動体視力とは
一般的によく行なわれている視力測定はアルファベットの「C」のようなランドルト環を使った検査ですよね。
すきまがあいている所を上、下、左、右、斜めなど当てていくものです。
この場合に検査されている視力は静止視力といい、止まっているものに対してどのくらい識別できているかをチェックするものです。
しかし日常の生活ではまわりの状況は絶えず動いています。
動いているものを視線をはずさずに追い続けられる能力が問われます。
これが動体視力です。
私たちが動くものを見ている時、その対象を見ているつもりでも自然と次の動きを予測して視線を先に飛ばしています。
この能力が優れていると動くものを識別することができます。
このように動体視力とは静止視力とは全く違うものです。
また、動体視力には静止視力のように数値化された測定方法がないので、単に「動体視力が良い、悪い」といった漠然とした表現しかできません。
動く対象をとらえるという意味で動体視力はスポーツの世界で重要視されています。
スポーツの中の動体視力
たとえばプロ野球のピッチャーは時速150km近い速球を投げるわけですが、素人では打席に立っても、球筋を追うことさえできないでしょう。
しかし日本球史に残る大打者の川上哲治さんは「ボールが止まって見える」と表現しました。
川上さんにはすごいスピードで迫るボールがとまって見えるほどの動体視力が備わっていたのです。
この他にも動体視力は野球ばかりでなくほとんどすべての球技で非常に重要な役割をもっており、近年特に注目を浴びるようになりました。
スキーやボートレースのように自分が高速で動く競技でも周りの状況を把握するために動体視力が必要になります。
逆に水泳や陸上といったアスリート達には動体視力はあまり必要とされません。
競技中に動く対象を追うことが少ないからですね。